わたしのピーター・アイヴァース。

 

わたしがピーター・アイヴァースを知ったのは、7年前のこのツイートだった。

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2015年6月15日12:59 のツイート

人生で一度だけ、数日間食べ物が喉を通らなくて寝込んでしまうくらい落ち込む出来事があって(でも自業自得だった)、寝込んでいたときに見たツイートだったから、ずっと目に焼き付いている。

 

 

 

ピーター・アイヴァース”  が曲のタイトルになったのは、それから4年後のことだった。

ちょうど東京に遊びに来ていた日に、映画『音楽』の主題歌に決定したというニュースがあった。このときはそれがまだどんな曲かは知らなかった。

そして同じ日にもうひとつニュースがあって、11月8日のあがた森魚さんの「第三惑星の一夜」に出演するというお知らせだった。

ピーター・アイヴァース” は、あがたさんとの La.mama でのライブで初披露された。

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あがたさんとしま

 

 

ドレスコーズの  “ピーター・アイヴァース”  は、コロナ禍のはじまりとともにあった。

大阪で映画『音楽』が公開されたのは、2月の終わりだった。

定時で仕事を終えて、軽く食事を済ませてから大阪初日の最終回で観ようとチケットを予約をしていたが、その日は翌週から急遽はじまることになったコロナ対策の時差通勤の打合せで遅くなり、結局会社からタクシーで、なんとか上映時間に間に合ったのだった。

 

 

去年の4月7日にアルバム『バイエル』がリリースされてからは、一日のはじまりにかならず “ピーター・アイヴァース” を聴いている。

わたしの東京での生活は『バイエル』とともにある。 

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《バイエル(変奏)》ツアー中にテレビで放送されたふたつのドレスコーズによる “ピーター・アイヴァース” は、ふたつのパラレルワールドを観ているみたいだった。

コロナ禍以前に録音されたレコーディングメンバーであるリンダ&マーヤとの “ピーター・アイヴァース” と、

コロナ禍中での《バイエル(変奏)》ツアーの公募メンバーによるドレスコーズ

 

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2021年6月27日放送「Love Music」でのドレスコーズ

 

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2021年7月4日放送 NHK「シブヤノオト」生ライブでのドレスコーズ

 

 

それから約1年後、7月8日の恵比寿リキッドルームでのライブ。

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7月8日のライブでしまは、“ピーター・アイヴァース” のあの部分を歌わなかった。

あのときのしまの顔をわたしは一生忘れられないと思う。

 

 

あがたさんとのあの夜の1曲目ではじめて聴いたときから(初披露で歌いながら力余って自分の拳で自分の肋骨を折ってたっけ)、なんとなく特別な曲だと感じていたけれど、この曲にはきっとこれからも色んな想いが蓄積されていくのだと思う。

 

そんなわたしの “ピーター・アイヴァース”。

 

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2022年7月8日の日記。

 

在宅勤務をしていたので、今日の事件は友達からのLINEで知った。

昼食をとりながら、今日中にやらないといけない仕事の量をみて、(今夜のライブに行くのは難しそうだな…)と思っていたところだった。

すぐさま Yahoo! ニュースをひらいて、そのときわかっている情報を見たとき、これがこの国で今の時代に起こっていることが信じられなかった。

テレビがないので、この部屋では自分から見に行かないと情報が入ってこない。

見なければいいのに、どうしても新しい情報が気になって見てしまう。

結局昼過ぎからは、TVer のリアルタイム配信で最新ニュースを見ながら仕事をした。

そんなことをしているので、当然仕事が捗らない。

しかし、いくつかの仕事は来週にまわせることになった。

 

 

 

17時すぎに元総理が亡くなったという速報が入った。

 

 

ひとり暮らしをはじめてからいちばん困っていることは、ショッキングな出来事が起こってしまったときに、ひとりでいるとどうにかなってしまいそうになることだ。

友達や家族、誰でもいいから知ってる人に会いたい、顔が見たい。

……そう思っていると上司から仕事の件でテレビ電話の着信があった。

(上司ごめん、今見たいのはあなたの顔ではなかったです、誰でもよくなかったです)と思いながら、こちらはカメラオフで通話を済ませた。

そのあとは光の速さで残りの仕事をなんとか終わらせて、開演20分前にタクシーに飛び乗った。

元首相の自宅マンションがある通り近くを通ったとき、テレビや写真でしか見たことがなかったものすごい数の報道陣を、はじめてこの目で見た。

こんなことで「東京」に居ることを実感したくなかった。

 

 

LIQUIDROOM には、開演時間ちょうどに到着した。

地下に続く階段を降りているとき、拍手が聴こえてきた。

時間通りの開演だった。

 

ホールに入ると知ってる人がもう、

ステージの上に居てくれた。

 

今日ライブがあって本当によかった。

一方的にだけど、知ってる人に会えて、顔が見られた。

 

今日ほどライブを、音楽をありがたいと思ったことはないと思う。

 

ありがとう、居てくれて。

音楽ありがとう。

 

そして、ニガミ17才ツアーファイナルおめでとう。

ドレスコーズを呼んでくれてありがとう。

 

 

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はじまりの記憶。

 

気づいたら10年経ってた。

オリジナルドレスコーズの初ライブのことだ。

 

7月11日の『Trash』でのメジャーデビューはアナウンスされていたものの、デビュー前の急な東名阪ツアーの告知。

「来週ライブやります」的な。

 

東名阪のどこも200人入るか入らないかぐらいの小さなライブハウス。

急なニュースで、チケット発売日も平日だったので、わざと現場に行く用事を作って、10時にドトールからガラケーでなんとかチケットが取れたのをおぼえている。

 

10年前のじぶんのツイートを探しみると、初ライブの感想は、この一言だった。

 

 

 

たしかにそうだった。

絶句というか、衝撃が凄すぎて、こう書くしかなかった。後頭部をいきなりどつかれたような(まさに事故)そんな気分になった。

あとは、あの日の Pangea のにおいとか、湿度とか、しまが言っていたこととか、歌詞の、本当に断片的な記憶しかないのだけれど、10年前の記憶を書き留めておこうと思う。

 

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初ライブのセットリスト

 

 

 “1954” でライブが始まったことは、今でもよくおぼえているし、

なんでしまがはじめに “1954” を歌ったのか、今ではよくわかる。

 

ぎゅうぎゅうの、今で言う密なライブハウス。

整理番号も後ろのほうだったから、9センチのウェッジソールを履いて身長を167センチに伸ばして行ったけど、お客さんとお客さんの隙間からたまにしまが見える、そんなかんじだった。

お客さんの誰もが、どんなバンドなのか、どんな曲を歌うのか、全くわからずに観に来ているわけだけど、“SUPER ENFANT TERRIBLE” で「止まるとぼく死ぬから」は確実に聴こえて、ライブ後に Twitter でみんな大騒ぎしていた。

 

しま:水がない、水をください。

たぶん最前列のおにいさん:ここ!

しま:じゃああなたたばこもください。

たぶん最前列のおにいさん:タオルやったらある!

 

たぶん最前列のおにいさんから借りたタオルで顔を拭くしま。

このたぶん最前列のおにいさんは後に知り合うマヨ兄(@FESTIVAL_EXPS)だった。

そんなやりとりのあと、結局たばこがなくて、メンバーはいったん楽屋に戻って行ってしまった。

 

たばこを吸いながら戻ってきてはじまったカバー曲、“Tokyo Joe” 。

しまがたばこを持ったまま、手拍子しながら歌うものだから、火花が散って花火みたいできれいで、マルが弾くオリエンタルなギターのフレーズによく合っていた。

そして “Louie Louie” 。カバーが2曲続いた。

色んな人がカバーしている“Louie Louie” だけど、ドレスコーズの “Louie Louie” は、今まで聴いたことのない “Louie Louie” で、(これ“Louie Louie” か? )と一瞬わからんかった。

最後に演奏された “Trash” のときだけ、しまがモニターの上に乗ったり、天井に這っているパイプにぶら下がったりしていたからよく見えた。

 

はじめに歌った “1954” も、デビュー曲の “Trash” もしまにとってはケジメみたいな曲でもあったと思う。でもわたしにとっては、

 

さあ、Blue

なあ、Blue

 

という歌いだしは、大好きなバンドをなくして、大キライな6月を散々憂鬱に過ごしていたじぶんが呼びかけられているように思えた。

そう、わたしは Blue ちゃん。

 

 

どうもありがとう

これからいっぱい会おうよ

ドレスコーズでした

 

 

1時間もなかったステージ。

カバー以外1曲も知らないバンドのライブ。

アンコールを待っていたけれど、もう曲がない。

閉演の会場アナウンスのあと大きな拍手が起こって、生まれたばかりのバンド・ドレスコーズの初ライブは終わった。

 

前年の12月5日の日本武道館での解散ライブから半年以上ぶりに見たしまの姿。

 

閉演後まだ名残惜しくて、Pangea に近くに居たら、FM802 のDJ 飯室大吾さん(@ore_daigo_802)が出て来られた。

大吾さんは昔から番組で毛皮のマリーズの音楽を紹介してくれていて、しまもメジャーデビューした頃から大吾さんの番組によく出演していた。

シングル『Mary Lou』の大阪でのリリース記念イベントの司会も大吾さんだった。

ドレスコーズの初ライブに、そんな昔から応援してくださっていて信頼している人の姿があったのはとてもうれしかった。

 

 

 

デビュー前夜のあの時期は、「ドレスコーズ」の情報が少なすぎて、毎日ヒマがあれば Twitter で検索したり、ググりまくっていた。

Twitterで、色んなフォロワーの人と知り合ったのもこの時期だ。

御堂筋のスタバで amato くんのこのツイートを見つけたとき本当にびっくりして、思わずフォローしてしまった(今読んでもいいツイート)。

毛皮のマリーズの記事をたくさん読んできたけど、プロのライターが書いているはずなのに、その中には「批評」や「分析」と呼べるものが本当に少なかった。(邦楽の音楽記事のレベルを上げたのは、志磨遼平とドレスコーズの『平凡』以降の作品だと思う。)

amato くんのツイートを読んで、批評ってこうやってやるのか… と感心して、こんなふうに物事を捉えてじぶんの言葉で表現できてカッコいいな、じぶんもこんなふうに書けるようになりたいなと思った。(まだに書けるようになっていない…)

 

あの日も雨が降ってて、じめじめした季節だったな。

10年も書けなかったけど、これがわたしがいちばん好きなバンドのはじまりの記憶です。

 

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いつかスガさまが Twitter にあげてくださった2012年6月12日のステージのしま。

 

 

 

 

 

 

 

 

20年以上ずっと好きな人のこと。

 

斎藤工さん。

いまや、俳優・映画監督・歌手・クリエイターとして大人気の人。

 

わたしがこの人を見つけたのは、高校生の頃だった。

エムシーシスター(mc Sister)というファッション誌を見ていたとき、「彼とのお散歩ファッション❤︎」みたいな記事の彼氏役が、当時 TAKUMI 名義でモデル活動をしていた斎藤工だった。

 

モデルのTAKUMIに一目惚れした理由は、当時好きだった同じクラスのM野くんに似ていたからだった。TAKUMI を見つけたのはM野くんに人生初の告白をしてハートブレイクした直後だったと思う。

高校の友達には、TAKUMI とM野くん「全然似てへんやろ」と言われたが、当時のわたしの目には、TAKUMI とM野くんは全く同じ顔に見えていた。

GW に帰省したとき、高校の卒アルでM野くんの顔を確認してみたが、今見るとM野くんとTAKUMI 全く似ていないと思う。

恋は盲目。ラヴ・イズ・ブラインド。

すごくいいコではあったけど、ロクにしゃべったことのないM野くんのことをなんで好きになったんやろうか。

10代の頃の恋なんて、たぶんそんなもん。

部活終わりにみんなでM野くんのバイトしてたマクドに行ったりしたなあ……。

「ほら見て! M野くんが入れたポテト🍟めっちゃ真っ直ぐに入ってるのスゴない???」とか力説したなあ……。(遠い目)

 

M野くんの話になってしまった。

閑話休題。)

 

そんなこんなで、モデルのTAKUMI をめっちゃ好きになり、当時のメンズファッション誌を読み漁っていた。

当時のメンズ誌は、井浦新(モデル名義:ARATA)や、伊勢谷友介村田充(モデル名義:MITSUU)が、モデルとして活躍していて、今思えばすごい時代だった。でもTAKUMI がダントツで M野くんに似てるしカッコいいと思ってた。

何にしても好きになると、その魅力を周囲に言いまくる性分なので、クラスの男子がTAKUMI が載っているメンズ誌を教えてくれたり、環状線の車内に吊られていた大丸のメンズフロアとか、UNIQLOジーンズとか、TAKUMI がモデルをしている吊広告を駅員さんにもらって来てくれたりした。UNIQLO を知ったのはTAKUMI がモデルしてた吊広告だった。

今でも実家には、モデル時代のTAKUMIの、メンズ・ノンノとか、smart とか FINE BOYS とかHOT DOG とかのメンズ誌の切り抜きや、吊広告やポスターがいっぱいある。

 

そんなにもモデルとして大活躍していたTAKUMI が、急にメンズ誌に出なくなった。

M野くんに続いての、TAKUMI への恋の終わりは突然やってきた…… と思っていたが、今思えばあの頃からTAKUMI はバックパッカーとして世界中を旅していたみたいだ。バックパッカーをしながらパリコレに出演していたのも後から知った。

 

TAKUMI が日本のメンズ誌から姿を消したあと、唯一持っていた TAKUMI の短いインタビュー記事を何度も読み返した。

サッカーをやっていたから太ももが筋肉で太くて衣装のボトムスのサイズが合わないことがあること。

映画が好きで、将来は映画を作る仕事をしたいこと。そのために俳優も経験したいし、いつかは映画監督として作品を作りたいということが書かれていた。

休日は1000円で映画3本観られる映画館に通ったりしていたそうで、わたしもTAKUMI のマネをして、大阪でそういうところを探して新世界のおしっこのにおいのする映画館で3本映画を観たりした。

 

 

数年後、TAKUMI を再び見つけたのは、大学の近くのTSUTAYA だった。

『時の香り リメンバー・ミー』という映画のDVD のジャケットにTAKUMI の姿があった。

TAKUMI ではなく、斎藤工名義で俳優として初出演した映画作品だった。

静止画のモデルとしての TAKUMI しか見たことがなかったけど、その映画ではじめて動くTAKUMI を見て、TAKUMI の声をはじめて聴いた。想像していたよりも低い声だった。

斎藤工」で検索したら、『海猿』などいくつかの作品に俳優として出演しているようだった。

あのインタビューで言ってたことをちゃんと実現させてて、俳優として映画に出てて、すごいなあと思ったし、突然の再会(一方的な)に本当に驚いた。SNS もなかった頃だから、思わず所属事務所にファンメールを送ってしまった。

 

それから、斎藤工のオフィシャルサイトの情報をチェックしたり、ブログ「斎藤工務店」を読みながら応援していた。

斎藤工務店で、最近聴いている音楽として、毛皮のマリーズのメジャー1st 『毛皮のマリーズ』が紹介されていたこともあった。

しかもその翌年には、コロムビアからメジャーデビューして、TAKUMI が毛皮のマリーズの後輩になった。(しまとTAKUMI は同学年。)

 

どんどん俳優として活躍するようになった TAKUMI に高校時代の友達も「TAKUMI 俳優になってない????」と気付きはじめて、ドラマ『昼顔』の放送が始まった頃には、みんなから「235が好きになった人みんなブレイクするのすごいよな。斉藤和義とか、THE BAWDIES もMステ出てたし、235 に教えてもらった人みんなめっちゃ売れるやん。」ってよく言われた。

そう言われるのはうれしいけど、斉藤和義THE BAWDIES も、世間で言うブレイクの前もあとも音楽への向き合い方は変わらないし、その法則が成立するとすれば、わたしのいちばん好きな人はもうすぐひとりで外を歩けないぐらいどえらいことになると思う。

TAKUMI も斎藤工も言ってることは変わらない。ずっと映画が好きで、映画を作っている。

これからもずっと応援するし、次の休日には、彼の主演最新作『シン・ウルトラマン』を観に行こうと思う。

 

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モデル時代のTAKUMI

ドレスコーズ+betcover!! ツーマン@渋谷クラブクアトロ即日レポ

 

渋谷クラブクアトロで、ひさしぶりにライブハウスでライブを観た!

上京してはじめての東京のライブハウスで観る対バン!

東京に来て1年ちょっと経ってようやく、仕事終わりにライブハウスに寄ってライブを観て帰るという念願がかなった!!

 

テンション高いままの即日レポートです!

ネタばれアリアリなので、配信これから観る人は読んだらあかんで!!

 

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新生(←しまいわく)ドレスコーズの対バンシリーズ第一弾の対バンはbetcover!!

対バンシリーズ第一弾の

先攻はbetcover!!

 

まったく前情報もなく、なにも調べずはじめて観たbetcover!! は凄かった……。

 

メンバー登場シーンの5人のシルエットがカッコいい。出てくるだけでカッコいい……。佇まいカッコいい……。カッコいいバンドの条件、いきなりクリア。

 

はじめて彼らの演奏を聴くのだけれど、せーの!の1音目から圧巻……。

爆音でうねってて、グルーヴが凄い……。

聴いた瞬間鳥肌が立った……。

音圧がすごい……。

 

 

そして、歌がはじまった瞬間の印象。

フロントマンは俳優。

セリフを言うように歌う人。

 

ギターも弾いてサックスも吹いてめちゃくちゃ倍音倍音倍音(←凄い……。)

めっちゃ演奏もするけど、演奏も演技に見えるような、めちゃくちゃ俳優。

 

何見て何聴いてきたらこうなるんや?

何歳なんや?ほんまに平成生まれなんか?

ショーケンが好きなんか?

 

たぶんお若いバンドなんでしょうけど、本当に何年も一緒に演奏してきたようなグルーヴに、フロントマンの人のひとり芝居のような歌をのせる劇。

 

そういえばメンバー全員スーツでカッコよかったな。フロントマンはダブルのスーツめちゃくちゃ似合ってた。鍵盤の方がファラオ光に似てててカッコよかった。(←ファン)

 

betcover!! のライブが終わると、凄すぎて、満足感と疲労感で、(うむ……)と何かに納得して、帰りそうになった。

次にドレスコーズが出てくるの一瞬忘れてしまうくらいだった。

しまが呼んだ人らやもん。そりゃめちゃくちゃ凄くてカッコいいバンドやわ。

それにしても今までのドレスコーズの対バンでいちばん衝撃的やった気がする。

マスクの下はずっと口があいてた。

こんなバンド観たことなかった。

 

 

そして後攻のドレスコーズ!!(←マネして!!をつける)

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今朝目覚めた瞬間、今日のギターは田代クンで、ベイスは山中治雄だなと、ぴーん!ときた。

これは女の勘とかではなく、たぶんバイエルのツアーを観て、田代クンギター、山中治雄ベイスのドレスコーズを観たいなとずっと思ってたただの願望。

 

ステージの転換のとき、ハルヲのアンプが出てきて、あっ、ヤバい…… と思ってたら、田代クンがスタスタ出てきてセッティングをはじめて、ハルヲも出てきて思わずちーちゃんにメール。

ハルヲやっぱり背高いわ足長いわ……。クアトロのステージの天井がめっちゃ低く見える。

サングラスマスクの人も出てきてドラムのセッティングはじめて、角刈りは隠せてないので(ビート)さとしくんやな、と一瞬でわかった。

 

 

そんなこんなでドレスコーズのライブが始まった。(←展開の書き方雑)

 

そういえばライブが始まる前と転換のとき Naked City が会場で流れてて、今日の対バンにぴったりだった!

 

今日は本当にドレスコーズのセットリストがヤバかった。じぶん好みでもあるけど、betcover!! の対バンのセットリストってかんじ! 

 

01.ニューエラ

まさかの “ニューエラ” はじまり!

でも、すぐに納得の選曲。

完全に betcover!! のサウンドに対抗した選曲。

攻めてる。しまの気合いを感じる。

田代クンの “ニューエラ” のギター、めちゃくちゃイイ!!凄い……。 betcover!! は4人のグルーヴにのってフロントマンの人が好きにやるのがいいかんじやったけど、今日のドレスコーズでは田代クンがその役割か。今日も好きにガシガシ弾いてて、不穏な音色も穏やかな音色も奏でてて、めっちゃよかった! ハルヲがすごく大人に見えた。めっちゃいいじゃん!(←東京かぶれ)今日のドレスコーズ!!

 

そしてやっぱり “ニューエラ” は凄い曲だな。壮大。

 

 

02.Trash

渋谷クアトロに来たのは 2013-2014 の年越しイベントでのオリジナルドレスコーズのライブ以来だった。

年が明けてライブがハネたあと、メンバーとわきゃわきゃお話できて、しまが帰りぎわに「今年はいろいろやるから楽しみにしてて!」って言ってて、その年は毛皮ちゃんのオールタイムベストアルバムが出たり、レコード会社移籍したり、夏に初の日比谷野音でのワンマンライブがあったり、しまひとり残してオリジナルドレスコーズのメンバー全員脱退したり、本当に色々あった。

そんなオリジナルドレスコーズのはじまりの曲、“Trash” 。あれからもう10年か……。

 

ハルヲのベイスはベイスであってベイスじゃない。

ハルヲは歌うようにベイスを弾く。

そんなメロディアスなハルヲのベイスが本当に好きだったな。今も好きだ。

ハルヲのベイスで2曲目でもう泣いてた。

 

 

03.Ghost

オリジナルドレスコーズ最初で最後のE.P. に入ってる曲、“Ghost” 。そういえば、betcover!! も “幽霊” という曲をやってたと思う。

ハルヲの低音のコーラスめっちゃエロい。

ハルヲのベイスめっちゃ踊れる。

そういえば、あの頃急に「ダンスミュージックの解放」とか言われて戸惑いましたよね。

 

 

04.りびんぐでっど

菅田将暉さんにプレゼントした “りびんぐでっど” 。おっ、こっちも俳優やん。

そういえば、betcover!! のフロントマンのダブルのスーツに合わせたのか、しまの今日のステージ衣装もダブルのスーツだった。betcover!! のフロントマンはちゃんとシャーツ着てたけど、しまは素肌にジャケットで乳首チラつかせてた。素肌にサスペンダーもしてた。チラッと見えた。

ハルヲはチャラい柄シャツ着てた。チャラかった。髪伸びてさらにチャラかった。

田代クンは、バイエルのときみたいなのも今日の衣装もよく似合ってた。黒髪になって前髪もできててかわいかった。

“りびんぐでっど” の田代クンのギターも凄くよかったなあ……。

 

 

05.恋の歌

ピアノのイントロで “さよならベイビー・ブルー” かと一瞬思った。

去年の12月は渋谷で松雪泰子さんと山田裕貴さんの歌声で何度も聴いた曲をしまの歌声ではじめて生で聴く。

しかも田代クンのギター、ハルヲのベイス、ビートさとしのドラムでってのが凄い。そのなかで通常モードで弾いてらっしゃる中村圭作さん。

しまにとっては畏れ多いかもしれんけど、しまが書いた歌詞っぽいし、ドレスコーズの曲っぽいし、完全に持ち歌。

 

 

06.カーゴカルト

音楽劇「海王星」で、那美さんが華麗にダンスする “毒薬の歌” のときにいつも思い出していた “カーゴカルト” 。

“りびんぐでっど” からここまで3曲、演劇コーナーってかんじやった。

ハルヲが踊りながら弾いててチャラかった。

『ジャズ』って凄いアルバムやなあって改めて思う。

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(すでに3000字超えてるみたいなので、次!)

 

 

07.エロイーズ(新曲)

「新曲やります!」と言ってはじまったこの曲。

ウワサのシャンプーのCMの曲!CMで流れてたサビだけでも一回聴いたらおぼえる名曲なのですぐわかった。

アンコールで、「今日シングルで出します。」(明日5月20日午前0時の日付け変わった瞬間)と、いきなりのお知らせ。

シングルのレコーディングメンバーも気になる木。

 

 

08.Mary Lou

まさか今日聴けるとは思わんかったかった。

毛皮ちゃん時代からめちゃくちゃ好きで特別な曲なんですが、

madorigirl.hatenablog.com

今日のセットリストとか音楽劇「海王星」の曲とか、これらを全部この人が作ったんかと思うと、信じられん。キャリア通して天才すぎると思う。色んな曲作れるなあ、全然タイプの違う色んな曲がいっぱいあるのにこの人が作る曲は全部好きになるのはなんでなんやろう。

新曲のエロイーズって女の子の名前なのかしら? もしそうだとしたら、女の子の名前のタイトルが2曲続いたね。

「エロイーズ」ググってみたら、修道女で作家で学者のめちゃくちゃ知的な女性だった。

ja.wikipedia.org

 

(後日追記↓)

Mary Lou ちゃんのモデルが『椿姫』だったように、エロイーズちゃんのモデルはフランスの修道女・エロイーズやったんか!!!!と一瞬思ったけど、ツーマン翌日のラジオを聞いたらちがうようだった。FM802 DJ の深町さんは修道女エロイーズや、恋人のピエール・アベラールとの往復書簡のお話をして下さったけど、しまは知らんかったぽかった。

しかし、知らなかったとは言え、こうやって修道女エロイーズの話とリンクしてしまうところがおそろしい。しまってそういうとこあるよね~。

修道女エロイーズの本も読んでみようと思う。ほんとしまの音楽のこういうところもおもしろいし好きだ。

それにしてもしまの書くラブソングのハッピーな曲の割合の低さよ……。

 

09.ぼくをすきなきみ

東京に引っ越してから、毎朝『バイエル』を聴くので、毎日聴いている曲。

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「コーヒーのおかわりは どう」てとこが特にすき。

 

 

10.愛に気をつけてね

歓声とかはまだあかんのかもやけど、フロアいっぱいのお客さんとか、みんなの手が上がってたりとか、拍手手拍子とか、元気なライブハウスが戻ってきたなと思う。

またしまが客席にDive しちゃったりする日が戻ってくるのかな、40歳をむかえたしまのフィジカルな衰えがどうなのか気になるけど、まだだいじょうぶだと思います。

 

 

11.HEART OF GOLD(アンコール)

ひさしぶりのライブで聴きたかった曲。

さとしくんのズッシリとした “HEART OF GOLD” のドラムもいいなあ……。

しかもハルヲのベイス、田代クンのギターでこの曲を聴けるなんて。

 

 

12.ピーター・アイヴァース(アンコール)

クリスマス・イヴの配信で、この曲の初披露のとき(あがた森魚さんとのラ・ママ)、「胸にヒット」のところで肋骨にヒビが入ったという小話を聞いたので、今日はだいじょうぶか、そこはヒヤヒヤしながらみたが、だいじょうぶなようだった。加減を知ったようだった。

あがたさんとのライブではじめて聴いた夜から好きだったけど、毎日聴いているこの曲を毎日どんどん好きになるこの好きの度合いは尋常じゃないと思う。

 

 

東京に引っ越した日に、中野サンプラザでの志磨万博は観たけれど、上京してから東京のライブハウスでライブを観たのは今日がはじめてだった。(『バイエル』ツアーは川崎 Citta がファイナル。)しかも東京の老舗のライブハウス。

 

今年はいっぱいライブが観たいなあ。

東京でたくさんライブが観たい。

いっぱいライブしてね!ドレスコーズ!!

 

 

以上、テンション高いままのドレスコーズ!!+betcover!! ツーマン即日レポでした!

 

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2013→2014 のカウントダウンイベントでメンバーと写真撮ってもらった渋谷クラブクアトロの思い出のロッカー。

 

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EGO-WRAPPIN' Ver. (1999年)よっちゃんいわく「イキってた時期」。渋谷クアトロは聖地。

 

 

『平凡』と婚活。

 

ドレスコーズの『平凡』が発表されて5年が経つ。

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『平凡』というコンセプトアルバムは、長年のフアンたちが一瞬ドン引きするくらいの志磨遼平史上イチの問題作だった。毛皮時代から毎度問題作を作る人にびっくりさせられることには慣れてるはずなのに、この問題作はかなり衝撃的だった。

なんでいきなりジャケットがマネキンになってしまったんかも、はじめて見たときはホントに意味がわからなくて混乱した。

 

『平凡』を聴いたことがない人は、ちょっと何言ってんのかわかんない話をするので、とりあえず聴いてほしい。

 

‎ドレスコーズの「平凡」をApple Musicで

 

『平凡』とは、“meme” をテーマとした、近未来のノーマリスト(均一化された人類・普通の人)たちの世界で悩むミーミスト・平凡さんが主人公の、SF映画かよ!と突っ込んでしまうくらい壮大なコンセプトアルバムなのだ。

 

ほんと聴いたことない人はちょっと何言ってんのかわかんない状態だと思うので、とりあえず聴いてほしい。

 

‎ドレスコーズの「平凡」をApple Musicで

 

要は、みーんなおんなじような人たち(ノーマリスト)の、普通がいちばんいいとされる没個性の世界で、みんなと違うことするマイノリティの人(ミーミスト)は、みんなから白い目で見られたり、罰せられたりするそんな近未来のお話。

没個性の世界だから、個性的であることを推奨するような「世界に一つだけの花」は、禁止ソングなのだ。

『平凡』を聴いたとき、志磨遼平はすっごいこと考えるな…… とか、なんでこんなアルバムが作れるん?とか、音もスゴすぎてただただびっくりしてたけど、さらにおどろいたのは、その後、本当に世の中が『平凡』みたいな世界になってしまったからだ。

 

その序章というような出来事が、『平凡』発表後の「“meme” TOUR」のときにあった。

同世代の女性の知り合いふたりが結婚を決めた。

ふたり(A子さんとB美さんとする)は、それぞれ違うコミュニティでの知り合いで、A子さんとB美さんは知り合いではない。

そして、ドレスコーズも、『平凡』という作品も、ふたりは知らないと思う。

 

A子さんもB美さんも、結婚相談所数社に登録してお金もかけて、本気で婚活をがんばっていた。

膨大なデータから、自分に合いそうなお相手を選んでもらって、毎週毎週知らない人とデートして疲れてノイローゼ気味になってしまって、心配になった時期もあった。

だけど、ふたりともめでたく結婚を決めたのだ!努力して「結婚」という目標を達成したふたりは、本当に凄いと思う。

A子さんとも、B美さんとも結婚のお祝いの食事に同席させてもらって、婚活中のアレコレを聞いたり、お見合い写真も見せてもらった。

違う結婚相談所に登録していて、住んでいる地方も違うはずなのに、A子さんもB美さんもお見合い写真では、同じような服装をしている。そして結婚相談所のアドバイスなのか、全く同じポーズで、全く同じような表情の笑顔。まるでノーマリストみたいじゃないか!

 

どんな服装・ポーズ・表情なのかというと、女子アナ

ノーマリスト=女子アナなのだろうか。

 

実際ふたりに、「なんか、女子アナみたいでかわいいね。」って言ったら、結婚相談所に女子アナみたいな服装や髪型をすすめられたらしい。どんなタイプの男性にも一番ウケがよくて、女子アナを嫌いな男性はいないらしい。今(婚活時)は個性的なファッションはやめてほしいとも言われたそうだ。

A子さんには「23ちゃんは、結婚相談所ぜったい向いてないと思う。」と言われてしまった。

 

そして何十人もの男性とお見合いをしたA子さんとB美さん、それぞれに旦那さんの好きなところは?とか、どうしてその人を選んだのかを聞いてみたら、おどろくことにこれもまた全く同じ答えだった。

 

A子さんとB美さんが、旦那さんを選んだ理由は、

 

 

 

 

 

「断る理由がなかったから。」

 

 

 

 

 

 

 

なんかもっとこう、たのしい恋バナが聞けるとおもっていたのに……。

 

 

 

 

 

これがノーマリストの世界なのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから5年、結婚して遠くに引っ越したのでしばらく会っていなかったB美さんから、今年に入って第一子(女の子)を出産したと連絡があった。

 

あのお見合い写真とは全く違う、女子アナじゃない、どう見てもすごく個性的なファッションで赤ちゃんと写るB美さん。

 

 

 

 

 

そしてその女の子の名前は、

◯◯ちゃん(ふりがな:◯◯◯ちゃん)

 

 

 

名前の由来はあの曲 “世界に一つだけの花” です。(想像してみてください。)

 

 

 

ノーマリストじゃなくて、ノーマリストのふりをした隠れたミーミストやったんか! B美さん。

 

 

 

 

 

 

『平凡』の主人公・平凡さんは、B美さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

信じるか信じないかはあなた次第です。

 

 

 

 

 

ドレスコーズの最新作『ドレスコーズの音楽劇《海王星》』が昨日発表されたばかりなのに、5年前の作品『平凡』のお話でした。

 

 

 

 

わたしがバイエルでまなんだこと。

 

目を覚ますとまずすること。

「アレクサおはよう、『バイエル』かけて。」

 

アレクサはいないので、

そう言いながらベッドの中から手動で『バイエル』を再生する。

ムクリとからだをおこす。

ブラインドの隙間から射し込む光を浴びながら、1曲目 “大疫病の年に” のパイプオルガンの音を聴くと、教会にいるような厳かな気分になる。

 

 

去年の今日、突然サブスク上に誕生したバイエルちゃん。

‎ドレスコーズの「バイエル」をApple Musicで

 

わたしはあの日からずっと、毎朝かかさず『バイエル』を聴いている。

礼拝のような、朝練のような、毎朝の習慣だけど、儀式のような、自分だけの特別な時間。

 

この一年で、わたしはなにをまなんだだろう。

自分にとって激動の一年ではあったけれど、世の中でもいろんなことがあった。

コロナ禍での、1年おくれの東京オリンピック

スモークをたく戦闘機を人々が見上げる東京の光景を見ていると、昔観た戦争映画のなかに自分ひとり迷い込んでしまったみたいで、こわかった。

いちばん好きなバンドが出演した緊急事態宣言中のフジロックは、なんだか戦争へ行く人を見送る気分になった。

年があけると、ロシアのウクライナ侵攻。本当の戦争が起こってしまった。

 

『バイエル』という、こんなにも今の時代に合ったアルバムタイトルは、ないと思う。

この時代に必要なのは、なにが正しいかが書かれている「バイブル」ではなく、自分で頭で考えるための「バイエル」だ。

 

 

わたしがバイエルでまなんだことは、

“ちがいをみとめる”

この一言につきると思う。

 

平和がいちばんだし、戦争には反対で、そんなことは当たり前で誰もがそう思っている。それでも戦争はおこってしまう。

暴力はだめだけど、妻を侮辱されて平手打ちをしてしまう。

わたしも自分の大切な人、モノが傷つけられたり、大切な人の思想を侮辱されたら、どんな行動に出るかわからない。

 

でも、どんなに好きな人も家族も、どんなに自分と似ていても、彼らは自分とはちがう人間で、その人たちに「なんでわかってくれないの?」と思ったり、その人たちの行動を変えようとするなんて、おこがましいことだと思う。

他人を変えようとする、そういう考えが戦争のはじまりだと思う。

「どっちも正しいと思ってるよ、それが戦争だよ」ってドラちゃんも言ってた。

自分の半径1m以上の領土外で起こっていることには、賛成も反対もしない。主張やデモもしない。

でも、なんでそんなことが起きているかをできるだけ理解したい。

わたしがすべきことは主張ではなく理解することだ。

だからまなびが必要なのだ。

 

東京に引っ越したことで、かかりつけの病院と薬も変わった。新しく飲みはじめた薬までバイエル製薬のものだった。

 

 

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わたしの部屋にやってきた日のバイエルちゃん。標本みたいにテープで留められてやってきた。