令和元年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅵ「ニューエラ」。

 

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※令和元年元日(2019年5月1日)に発表されたドレスコーズ『ジャズ』2曲目 “ニューエラ” のレビューです。

 

 

02.ニューエラ

‎ドレスコーズの"ニューエラ"をApple Musicで


 

まずはじめに、

この曲の展開や壮大さは、完全にポップスやロックンロールの範疇を逸脱していると思う。

 

 

 

そして、

今年の吹奏楽コンクールの課題曲はもう、この曲でいいんじゃないかとも思う。

 

 

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↑ ここに

 

Ⅵ 行進曲「ニューエラ」 志磨 遼平  約5分

 

 

と追加しましょう。

 

 

 

 

 

なぜ “ニューエラ” が課題曲向きなのかというと、

 

マーチの課題曲も、“ニューエラ” も、

どっちも泣けるから。

 

ニューエラ” もマーチ(行進曲)だから。

 

 

(平成生まれの人は知らないと思うけど、昔はコンクールの課題曲は、マーチの年とマーチじゃない年と、1年ごとに交互だったのです。2008年頃から毎年どっちも混在するようになったらしい。)

 

 

しかしマーチの課題曲って、なんであんなにいい曲が多いのだろうか。

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コンクールの本番中に、今までの部活動の思い出思い出して吹きながら泣いてしまうぐらいいい曲しかない。

 

そしてさっきまで泣きながら吹いてたくせに、課題曲が終わるとケロっとして自由曲を演奏するのも、コンクールあるあるだと思う。

 

ニューエラ” を聴いたら、

コンクール地区予選本番の課題曲で泣いたあと、

“仮面幻想”というものすごい変拍子の狂った自由曲を真顔で演奏した高2の夏を思い出した。

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ニューエラ” は本当に泣ける………。

 

 

 

あの号泣してしまう最後のクライマックスのところについてしまはインタビューで、

「“ニューエラ” の最後のブラスセクションは~、小学生のリコーダーみたいに元気に吹いてください。って言ってわざとピッチもずらしてもらってるんですよ~。」

とか言ってたと思う。

 

それって、コンクールの割と直前に、

「上手い演奏と、いい演奏はちがうんや。」

とか先生に言われて、

ピッチを全く気にせずにみんな思いっきりフォルテッシモで吹いたらめちゃくちゃいい演奏に化けたみたいなアマチュアブラスバンドにおけるバンドマジックと同じ現象を再現していると思う。

 

日本一上手いプロの演奏家たちにわざとヘタに吹いてもらってこの現象を再現するなんて、演奏家の方々もすごいが、そんなオーダーをするしまもヤバい。

 

『ジャズ』を聴いているとひさしぶりに、しまはプロの音楽家なんだ、いうことを思い出す。

『ジャズ』とはそんなアルバムです。

 

私は今までしまをなんだと思ってたのだろうか。

 

だって最近は、

平凡さんになったり、

三文オペラ』で乞食のバンジョー弾きになったり、

『PLAY TOUR』でどろぼうになったり、

時代劇でちょんまげ結ってたりしてて、

 

 

 

 

 

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 (似合う。)

 

 

 

 

 

この人の本職なんでしたっけ?

 

 

 

 

て、わからんくなるけど、

しまはじつはもう、20年以上作曲を続けている音楽家なのだ。

 

 

 

 

 

 

…… “ニューエラ” はコンクールの課題曲向きだという話の続きだ。

 

吹奏楽部時代、練習で行き詰まったときとかに、この曲はどういうコンセプトで作曲された曲なのかとかを調べたり、先生に教えてもらったおぼえがあるけど、

 

そういうときに中高生が

「作曲者・志磨遼平さんはどういう思いでこの曲作ったんだろうね?」

って調べたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人類の滅亡へ向かう行進曲だった。

 

 

 

 

 

とか、最高だと思う。

 

ぜったい忘れられない夏になると思うし、

今年っぽくてとてもいいと思う。

 

 

 

私は “ニューエラ” を聴いているときはいつも

 

・ペットとサックスとクラのパートはこのままで〜…

・しまが歌ってるこのメロディは、ユーフォとかテナーの中音域で〜…

トロンボーンとホルンも重ねて〜…

・太田さんのバイオリンはオーボエで〜…

・バイオリンの弦弾いてるっぽい音はシロホンを固めのマレットで叩いて〜…

・最初と最後のせせらぎ音はビブラフォンで〜…

 

とか、吹奏楽編成で演奏されている妄想をしている。

 

ほんとどこかの学校の吹奏楽部の誰かがんばってスコアおこして演奏会とかで “ニューエラ” 演奏してほしい。

 

多くの団体に演奏される曲だと思うし、多くの人に聴かれるための曲だと思う。

 

ニューエラ” は、そのぐらい素晴らしい曲です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ジャズ』におけるスガさまのお仕事について。

ニューエラ” はもちろん、“でっどえんど” も “Bon Voyage” も、『ジャズ』におけるスガさまのお仕事は本当に素晴らしかった。

 

スガさまがシンバルを演奏してらっしゃる様子が、見てないけど目に浮かぶ。

 

自分が吹奏楽部出身だから、スガさまが吹奏楽部出身で基礎練を積み重ねてきた人だということは、毛皮のマリーズ渋谷公会堂の『ティン・パン・アレイ』再現コンサートではじめてスガさまの演奏を聴いたときに一瞬でわかったし(しかもスガさまの出身校は吹奏楽がなかなか強い学校)、

バンドデシネ』の “シネマ・シネマ・シネマ” のスガさまのティンパニが好きすぎて、そのレコーディングのエピソードや、吹奏楽部時代のお話をご本人に直接伺ったこともある。

 

今回も “でっどえんど” のスネアのロールを聴いた瞬間、

 (はい、このスネアはぜったいスガさま。)ってわかったし、

 (このロールはぜったい立位で叩いてらっしゃる。)と思ったけど……

 

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このセッティングだと、座位で演奏されていたようだ。

 

 

高円寺のキース・ムーンなスガさまのドラムが大好きだけど、

 

『ジャズ』は、高円寺のキース・ムーンじゃないレアなバージョンのスガさまの演奏をたくさん聴ける、いいアルバムです。

 

 

そしていつかまたドレスコーズのツアーメンバーとして、スガさまがしまといっしょに旅に出る日を、私はずっとたのしみにしています。

 

 

 

 

 

曲もきれいだが、音も美しい。

そして『ジャズ』はとても音がいい。

素人ながら、すごくいい環境で録音されているというのはなんとなくわかる。

だってたぶんこういった編成の音楽をこんなにいい音で聴けるCDってなかなかないから。

  

プロの団体のCDでさえ、ホール演奏の録音とかだと周波数の違いで、いいところでティンパニが半拍ぐらい遅れて聴こえて、おーい……ってなるから。

 

生で聴いてもホールとか席によっては聴こえかたがだいぶちがうし、“ニューエラ” の音は、ヘタしたらブラスバンドを生演奏で聴くよりもいいんじゃないかとも思う。

 

 

 

 

 

ケンゴマツモトについて。

あと、この曲の最初と最後のキラキラした音とか、せせらぎみたいなきれいな音は、ギタリスト・ケンゴマツモト(from NOVEMBERS)が担当している。

 

しまはレコーディングのとき、ケンゴマツモトに特に細かいオーダーはしなかったのに、ケンゴマツモトはしまがなにをしてほしいのかわかってあの音を出したらしい。

ケンゴマツモトはスタジオにやってくるなり、エフェクターいじったりとか、ギターを弓弾きしたりしてあのきれいな音を出して、あまりギターを弾かずに帰っていったらしい。

 

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でもなんかそれ、めっちゃわかる。

すごいけど、ケンゴマツモトならやりかねない。

 

 

言葉はいらないとか、

手がはやいのとか(←ほめてる。)、

 

 

もう本当にエロい。(←ほめてる。言いたいだけ。)

 

 

 

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