2010年代最後の12月24日のドレスコーズ。

年が明けたけど、去年の話。

古い話をするのはあんまり趣味じゃない、から、あんまり古くならないうちに。

毎年恒例となりつつある、恵比寿The Garden Hall でのドレスコーズのクリスマス・コンサート「12月24日のドレスコーズ」。

前年同様、バカラの壮大なツリー? シャンデリア?(←どデカすぎてもはや何かわからん)の前で記念撮影をするために並ぶカップル、ファミリー… 今年も彼らと自分との人種のちがいを感じながら、早足で恵比寿ガーデンプレイスを駆け抜けて、会場へ入場。

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バカラの前で記念撮影するカップル。

 

会場に向かう前、恵比寿にあるのに「銀座」という喫茶店

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友と、誰の演奏が観たいか、グッズのデザインがケンゴマツモトだから、今年のギターもケンゴマツモトだろうか…などと、ライブに備えてパフェを食しながら、今日のメンバーを予想した。

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沢尻エリカ様も映画の撮影で訪れた喫茶店で食べたパフェ。

 

まだ開場されたばかりの会場に入場するや否や、ステージ近くへ急ぎ、ステージのセッティングを見てまずはわかる範囲で答え合わせ。

スガさま(菅大智)のドラムセット。

ケンさん(福島健一)のサックススタンド。

ぴょんさま(有島コレスケ)のアンプとアップライト・ベイス。

ギターは……?

鍵盤もある。

ギターの横に、透明のパーティションが立てられ、椅子が2脚。ストリングス… バイオリンとチェロあたりが入るのだろうか?

去年のクリスマス・イブに開催された令和元年最初の「12月24日のドレスコーズ」は、よく考えたら 2010年代最後に観たライブだった。そしてよくよく考えたら 2000年代最後に観たライブも、毛皮のマリーズだった。

 

2019年の神曲と、西クンとの再会。

2010年代最後のライブの1曲目は、まさかの “ニューエラ” で、ドレスコーズ 2010年代最後のギターリストは、まさかの西クン(越川和磨さん)。

まず、西クンが『ジャズ』を弾いているという事実に、ひさびさに西クンのギターを聴ける高揚よりも動揺(←韻)。

 

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神々しすぎるショットで誰だかわかりませんが、西クン(越川和磨さん)です。(撮影・森好弘)

 

去年(2019年)発表された『ジャズ』(←『ジャズ』全曲レビュー参照)のなかでも一番びっくりした曲が、“ニューエラ”(←『令和元年度吹奏楽コンクールⅥ課題曲「ニューエラ」』参照) だった。

そんな “ニューエラ” ではじまるライブは、バイオリンとチェロが入り、ケンさんがバリトンサックスで数曲低音にまわるいう贅沢すぎる編成。2010年代最後の特別なライブ。

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バリトンサックスを演奏するケンさん。(撮影・森好弘)

 

10年後の『Gloomy』再現演奏。

“チャーチにて” からはじまる『Gloomy』再現演奏。

しまがこの曲を歌うのは、2014年9月末にオリジナル・ドレスコーズからまるやまハルヲスガさまが脱退したばかりの10月のミナミホイールで、ラジカセを持ってぼっちで当時した、なんば Hatchのステージ以来。たぶん。

いつ聴いても懺悔のような曲。スガさまとぴょんさまがすずを鳴らす。

『Gloomy』が発表されてから10年。まさかストリングス入りの『Gloomy』再現演奏を10年後に座って鑑賞するなんて、10年前は誰も想像しなかっただろうな。

もはや再現ではない演奏レベルの『Gloomy』の再現演奏は、ストリングスのおふたりがめちゃくちゃ、素晴らしかった。

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伊藤 彩さん(Vl)と今井香織さん(Vc)(撮影・森好弘)

 

『Gloomy』の曲、特に “人間不信” とか、ストリングスどうするん? 待機しとくん? と思っていると、

轟音に合わせて粗悪な低音を響かせるチェロ。

そして、キュゥゥゥウウウウンンン!!!と高音をさらに上空で歪ませるバイオリンに耳を疑った。

バイオリンで歪みて……

二度見ならぬ、二度聴き。 

なんか… クリスマス・コンサートにやってきてくれた、きれいなクラシックのおねいさんたちかと思っていたら大間違いで、暴走族(レディース)の総長が、じつは学校イチの秀才(しかもお嬢様)だった。みたいなとまどい。

伊藤さん(Vl)と今井さん(Vc)がときおり西クンのほうに目をやる。

西クンの呼吸におふたりが合わせて、西クン率いる弦楽三重奏のアンサンブルを聴かせてくれるシーンが何度かあった。

えらくなったな、西クン。

弦楽三重奏のアンサンブルの轟音は、個人的にはこの日イチのハイライトだったと思う。

あと、スガさまの『Gloomy』 のドラムがヤバい。高円寺のキース・ムーン(スガさま)が『Gloomy』を叩くと、こうなるのか……。

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(撮影・森好弘)

このメンバーでの “人間不信” とか。あと、2曲目の “エリ・エリ・レマ・サバクタニ” とかのスガさまのドラムを聴いて、座っていないといけないのが、つらかった……。

 

 

“平和” で泣かなかった。

ドレスコーズでのライブ(「R.I.P.TOUR」2016年)でもいっときよく聴けた “平和” 。西クンとの “平和” を聴くのは、毛皮のマリーズ「コミカル・ヒステリー・ツアー」(2010年)以来ではなかろうか。

本物のストリングスが入った演奏の “平和” をはじめて聴く。

しまが泣かない対策なのか(←しまは“平和”を歌いながらいつもぼろぼろ泣く。)、テンポも割とさらっと演奏されている印象。しかしこちらは贅沢な音色と音圧も手伝ってうるうるきてしまう。

“平和” はギリギリ泣かなかったけど、そのあとの “ハーベスト” で号泣。(私が。)

スガさまのドラムと、西クンのギターソロの “ハーベスト” とかずるい。一曲ずっと泣いてた。(私が。)

『Gloomy』再現演奏もあったのだけど、“ハーベスト” や “Silly Song , Million Lights” をスガさまのドラムでまた聴けたからなのか、オリジナル・ドレスコーズのあの素晴らしい「(More Pricks Than)KICKS TOUR」(2013年)を思い出した。

ソロまわしでクリスマス・ソングをはさんでくれる伊藤さん(Vl)と今井さん(Vc)の気づかいで、今日がクリスマス・イブだということを思い出す “贅沢とユーモア” で、贅沢すぎる特別なライブの本編が終了。 

 

 

 

ささやかなプレゼント。憂鬱なクリスマス・イブ。

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クリスマス・イブが毎年憂鬱なのは、恋人もサンタクロースも不在だからだけではなくて、(マリーズ)メイニアにとっては、8年前のクリスマスの記憶があるから。

2011年の6月、毛皮のマリーズのホームページで突然はじまった謎のカウントダウン。そしてこの年の 9月に発表された毛皮のマリーズのアルバムがラストアルバムであり、12月31日をもって解散すること、『THE END』というアルバムタイトルとアートワークは発売日にはじめて明かされ、メンバーとごく身近なスタッフ数人しか知らなかった。

しかしそのホームページ上のカウント・ダウンが「0」になる日は、毛皮のマリーズが解散すると予告された 12月31日でもなく、日本武道館でのラストライブが行われた 12月5日でもなく、クリスマス・イブの 12月24日から25日に日付が変わった瞬間だった。

カウントダウンが「0」になったとき何が起こるのか、様々な憶測が飛び交っていたが、毛皮のマリーズがメイニアたちに用意してくれていたのは、ささやかなプレゼント・ “クリスマス・グリーティング” とメンバーからのメッセージだった。そしてその音声を聴き終えると、画面上の「un deux trois」が「adieu」に変わるという演出だった。

2011年の12月31日が終わり、年が明けた瞬間、バンドとともに、毛皮のマリーズのオフィシャル・ホームページと、しまのブログ「コックサッカー文學」が WEB上から消滅するという、徹底された美学。悲しみにくれながらもその美しさに感動した毛皮のマリーズ解散の瞬間をよくおぼえている。

 

ところがその数分後の、2012年になってすぐ、しまはドレスコーズとしてまるやまスガさまと3人で(ハルヲはまだいない)初ライブをするんですよ。

 

脱線しすぎたし、古い話をしすぎたので、話をもどすと……

そう、あの衝撃的で美しい伏線と演出がトラウマになっていて、今でもお知らせの予告に憂鬱になったり、いちいち深読みするクセがついてしまった。ハッピーなはずのクリスマスだけど、あの8年前の雪のクリスマスを思い出して、たぶんひとりでいるとしんみりしてしまうから、私はこれからも毎年こうやって、わざわざクリスマス・イブに東京まで足を運ぶと思う。

この日も開演直前に、謎のツイートが。

 

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8年前にくらべるとだいぶ肝もすわってきたけれど、こういうのにはいちいち構えてしまう。

まだアンコールが終わっていない。アンコールで何かあるのか。

アンコールを待つ間にあの謎のツイートを思い出してしまっていると、その憂鬱をほぐすように、事務所社長がステージにキャンドルをならべてくれる。

再びメンバーがステージに現れて、ひかえめな照明のままキャンドルが灯るステージで演奏したのは、“クレイドル・ソング” だった。今年の「PARTY TOUR」では演奏されなかったけど『ジャズ』におさめられている大好きな歌。しまはステージの前方に座り、キャンドルを手にとって歌ってくれた。   

“ビューティフル” も “愛に気をつけてね” もやらなかったけど、特別なクリスマスライブ。

西クンは20代の記憶を一体どこに置き忘れたのか、照れてたのか、しまがとなりに来るとなぜかマイクからよけるから、しまもカメラマン森さんも(私も)ずいぶん待って、最終的にしまが西クンの頭ぐいっ!てやって撮れたのがこのショット。

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(撮影・森好弘)

このツーショットを2010年代最後にもう一度見られたことが、メイニアにとっては、最高のプレゼントだったと思う。

 

 

伏線の回収。2020年のお知らせ。

そして、まあまあどぎまぎした開演直前の謎のツイートは、このことだった。

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アンコールで発表されて、ライブ後会場の出口でも特設サイトのQRコードが印刷されたステッカーが配られた。(開演直前の謎ツイートのロッカーに貼られてたのと同じだと思われる。)

2020年メジャーデビュー10周年イヤーのお知らせ。

もうホント、いいお知らせなら普通によろこばせてほしい……

でもまあ、毎回伏線混みでたのしんでいるんだけど。

 

「ID10+」と書いて「IDIOT」。

もしかして、東名阪のツアーは ID チェックがあったりして。

マイナンバーカード、作ってたほうがいいですか?

いまだに、年があけてもいちいち深読みしてしまう。

 

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